10年余り前に出版された『ハングルの誕生』(野間秀樹著、平凡社新書版)が平凡社ライブラリーから『新版ハングルの誕生』として出版された。副題も新書版の「音から文字を創る」から「人間にとって文字とは何か」に変わった。

10年を経てライブラリーに入る、すごいことだと素直に思う。以前、僕の処女作を読んでいただき、ほめてくださったが、こちらは一向に読者が増えない。著者がほめるということは、僕の文章は難解なのか、と考えていた。
そういえば、新書版の原稿を読ませてもらったときも、「難しい」などと勝手なことを言ってしまった。何年もお会いしていないが、再会したら「還暦を過ぎて文章がやさしくなりましたね」と言うつもりだ。
ライブラリー版と新書版を比較すると、「あとがき」がずいぶん異なる。故人名が連ねられていて年齢を感じさせるからかもしれない。新書版にない序文は、以前より文章が読みやすい。ライブラリー版は改稿した部分も多いという。もう一度読み直してみようと思う。