175j 洪性翊氏の半生記『どや、どや、どや』出版記念会

大阪生野区のコリアタウンで韓国の伝統餅(トック)の店としてスタートし、食品企業として成功した徳山物産は日本でもよく知られています。

1948年、済州出身の在日コリアン1世、洪呂杓(ホン・ヨピョ 2010年没)氏がコリアンを対象にトックの製造販売店を始めた事業が、冷麺、トッポッキ、トックなど、いろいろな韓国食材を日本全国の卸・小売商に供給する食品会社へと成長しました。韓国のプルムウォン(Pulmuone)などに技術提供する事業も行っています。

故洪氏の長男、洪性翊(ホン・ソンイク)氏は著名な画家であり、実業家として父親の意志を継いでコリアタウンの活性化にも尽力してきましたが、病気療養のため長いあいだ芸術と実業の現場から離れていました。

11月21日、コリアタウンにあるホン氏の自宅で経営する班家(panga)食工房において、ホン氏の半生記である『どや、どや、どや: 絵のみち食のみち奮闘記』の出版記念会が開催され、コリアタウンの在日コリアンや日本人の知人、日韓の絵画関係者など数百人が参加しました。

単なる出版記念会というよりホン氏のコリアタウン活性化への舞台復帰に意味があると思い、私も力添えしようと出席しました。6月末に大阪でムン・ジェイン大統領と在日コリアンの懇談会が開催されたとき、在日コリアンを代表し、在日コリアンの歴史・文化・生活が深く浸透したコリアタウンの活性化に韓国政府が関心を寄せるよう提案しています。

出版記念会がコリアタウン活性化に沿っていることは確かです。これに先立ち、最近、ホン氏はコリアタウン三商店街会の一つ、中央商店街会の会長に復帰しました。父親に続き、コリアタウンの発展と活性化に多大な関心を持つ彼の復帰が、今後コリアタウン活性化に大きな力になることを期待しています。

現在、日韓関係がよくない状況にあっても1日に1・2万人の日本の若者たちがコリアタウンにやって来て、韓国に行かずにして韓国の味と趣向を楽しんでいます。

ホン氏はコリアタウンの持続可能な発展のために商店街を活性化するだけでなく、植民地時代から日本で唯一の在日コリアン集住地という歴史と文化を踏まえた街づくりの重要性を強調しています。ホン氏の考えに全面的に同感する私自身そう主張しています。

この日、知人代表としてソウルから参加したユンボムモ国立現代美術館長によると、一度引退した画家が20年のブランクを経て活動を再開するのは、世界で類例のないことだそうです。ホン氏の画家としての華やかな復活も期待されます。

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