072j 質の高い朝鮮陶磁を所蔵する大阪市立東洋陶磁美術館

9月24日は日本のお盆ですが、韓国では振替休日も含め26日までチュソク[秋夕]の5連休です。でも、在外公館は現地のカレンダーに基づいて仕事するので、韓国の連休の恩恵に浴すことができません。ただし、現地の休日のほか、韓国の休日の3.1節(3月1日)、光復節(8月15日)、開天節(10月3日)、ハングルの日(10月9日)は韓国のカレンダーに合わせて休館します。

今年は、日本で休日の秋分の日(9月23日)が日曜日と重なり、お盆の24日(月)が振替休日になりました。この偶然の一致により、日本でも韓国のチュソク当日を含め、3連休を満喫しました。

24日、日本より2日多い韓国の休日をうらやみながら、自宅近くにある大阪市立東洋陶磁美術館に行きました。9月1日から11月25日まで高麗建国1100年記念「高麗青磁: 翡翠(ヒスイ)のきらめき」特別展を催しており、この機会を逃すまいと足を運んだのです。

世界的にも質の高い朝鮮陶磁器を所蔵する美術館ならではの展示品が待っていました。展示室の前には、今回の特別展を紹介した出川哲朗美術館長とベ・ギドン韓国国立中央博物館長の祝辞をそれぞれ、日・韓・英語で掲示していました。予想していたより来訪者も多いように思いました。

今回の特別展は、美術館のコレクションだけでなく、東京の国立博物館、奈良の大和文化館と寧楽美術館ほか、個人コレクションを含め、日本国内にある高麗青磁の「総動員」ともいうべき展示でした。ちなみに、展覧会のポスターに載っている高麗青磁は大和文化館所蔵の重要文化財です。

出品された250点余りの高麗青磁を鑑賞し、感嘆の念を禁じ得ませんでした。特別展のほか、常設展示されている朝鮮時代の磁器、中国と日本の磁器も見ることができます。高麗青磁とほかの磁器を比較しながら見られる絶好の機会です。

この美術館には、韓国の日本代表部時代(1949年1月-1965年12月)に外交官を務めたイ・ビョンチャン氏(李秉昌 1915-2005)が1999年に寄贈した高麗と朝鮮の磁器など300点余りからなる李秉昌コレクションがあります。美術館の3階にある同コレクションの入り口には彼の胸像が置かれています。この美術館は、どんな強い地震にも耐えられる免震設備、自然光を生かした照明設計、陶磁器を360度の角度から見られるようにしたデジタル鑑賞施設なども自慢です。

昨年、関西空港経由で日本を訪れた韓国人は計241万人で、ほとんどが観光客です。観光客数が増え、観光のトレンドが景勝地と食のツアーから文化へと向かっている現在、東洋陶磁美術館も、さらに重要な場所として浮上するものと思われます。

One thought on “072j 質の高い朝鮮陶磁を所蔵する大阪市立東洋陶磁美術館”

  1. 「大阪通信」を読んでいると、これまで自分がある程度知っていると思っていたことが、実は一つの角度からの理解や見方だった、と気づかされることが少なからずある。東洋陶磁美術館に高麗青磁や李朝白磁が豊富なことは知っていたし、城山三郎の『毎日が日曜日』に描かれた安宅コレクションのことも知っているつもりでいたが、一度見学しただけで何も知らない自分に気づいた。

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