「戦前」と「戦後」の間にある切断

日本の歴史時代については、政治の中心地にもとづく、古墳時代、飛鳥時代、奈良時代、平安時代、鎌倉時代、室町時代、安土桃山時代、江戸時代という時代区分が一般的だと思う。

これに沿って明治以降を考えれば「東京時代」とでもすべきだが、実際はそうなっていない。たとえば、戦前を「帝都(東京)時代」とし、新憲法が制定された1947年5月3日以降を「民都(東京)時代」とすることもできよう。首都は同じでも政治体制はまったく別のものだからだ。

他方、検定教科書は明治以降、現代日本の継続性を強調し、大日本帝国と民主日本国が連続しているように描く。「戦前」と「戦後」の間にある超えがたい断絶を曖昧にし、見えにくくしている。これに気づいただけでも、70歳にして法学の勉強をした意味があったというべきだ。

[再掲] 大浜啓吉著『法の支配とは何か: 行政法入門』は明治以降「戦前」における<法治主義>にもとづく立憲君主制国家と「戦後」の<法の支配>にもとづく民主主義国家が根本的に異なることを、さまざまな角度から説明する。前者は天皇主権であり、後者は国民主権である。

悲しいかな、多くの国民はこの違いを知りながら憤(いきどお)ることがない。著者は尋ねる、現代日本の初代首相は誰か、と。多くは伊藤博文(1841-1909)と答えるだろう。教科書にそう書いてあるからだ。彼は大日本帝国の首相だったが、民主日本国の首相ではないのである。

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