非法律的なるものの一角にあるのが文学的なるものであり、そのひとつが小説の世界だろう。僕はおそらく典型的な小説世界の住人であり、ながく法律的なものを遠ざけてきた。それが70歳になってにわかに法律を学び始めた。滑稽であろう。
法律の論理というのがある。いわゆるリーガルマインドと呼ばれるもので、僕はその周辺を学んでいるが、なじみがないこともあって、なかなか身に付かない。だから疲労感だけが蓄積していく。そこから逃れる方法のひとつが小説を読むことであり書くことだと思う。
小説を完成することが自分なりに納得のいく区切りを付けることだとしたら、法律の論理について一定の理解を得るとはどういう段階をいうのだろうか。法律条文の単なる暗記でないことは明らかだが、ある程度の暗記は必要である。
リーガルマインドの何たるかを理解していない者が法律の論理を云々するのは本末転倒というものだろう。いまの段階でいえるのは、その一端について自分なりの考えを持つために法律なるものの周辺を学んでいるということだ。