189j 韓国系民族教育が盛んな関西地方

日本に4校ある韓国系民族学校のうち3校は大阪府(2校)と京都府(1校)にあり、関西地方は全国で最も韓国系民族教育が盛んな地域だといえます。ほかに、2006年に新設されたコリア国際学園も大阪府(茨木市)にあります。また、大阪府の公立小中学校に設けられた<民族学級>では、生徒約3千人が民族講師50人ほどから韓国語と韓国の文化や歴史について学んでいます。

関西地方で民族教育が盛んになった最大の理由は在日コリアン住民の多さですが、それだけで民族教育が盛んになったわけではありません。民族教育を育(はぐく)み、日本社会のなかで活かし維持しようとした多くの人びとの血と汗と泪(なみだ)があったからこそ盛んになったのです。

その代表的な事件が阪神教育闘争です。在日コリアンが設立した朝鮮学校に対する閉鎖令(文部省学校局長の全国知事に対する通達1948.01.24に伴う各地の動き)に対抗し、神戸・大阪を中心に反対運動が起こりました。そんな状況のなか、1948年4月26日、大阪府警前で抗議デモに参加していたキム・テイル君(16歳)が警官に銃撃され死亡しました。

いまも各地の民族教育の現場では、日本への同化圧力に抗しながら韓国人のルーツを守ろうとする多くの人びとの厳しい戦いが続いています。水面下で活動する多くの教師や活動家などの尽力が関西地方の民族教育を支えている、といっても過言ではないのです。

総領事館では、年末年始にかけて各分野で在日コリアン社会の和合と発展に尽力した人びとに総領事表彰状を授与しました。1月21日には最も多い教育関係者12人の授与式を行い、食事の席を設けました。

受賞者は分野別に、民族学級5、韓国語教育4、民族学校3です。それぞれの受賞理由やこれまでの経緯は多様ですが、代表として話した4人のあいさつの要点を以下に紹介します。

パク・リョンフィ:民族教育推進連絡会

生野区で育ったコリアン2世。日本の学校に通って多くの差別を受けたので、成人したら差別をしない教師になろうと決心した。その決意を実行し民族講師になる道を選んだ。民族講師をしながら、むしろ生徒や親たちから多くのことを学んでいる。

コ・ヨンチョル:同胞保護者連絡会

民族学校の存在を知ったことが人生の画期になった。その時から韓国名を使い始め、ことしで20年になる。同胞保護者連絡会は成人の民族学級ということができる。今回の受賞は、新しい生活をスタートして20年を記念する成人式のようなものだ。今後とも自分のルーツを大事にする実践をしながら生きていきたい。

キム・ジュウン:金剛学園教員

北京の韓国学校に教師として派遣されていたとき、大阪に民族学校があることを知った。それが機縁となり現在に至っているが、来日当初は民族教育という概念さえ理解できなかった。経験を積んで民族教育の重要性を理解し、民族学校とコリアン社会、韓国総領事館や韓国教育院と協力してこそ民族教育を持続できることに気づいた。

パク・チョンジャ:滋賀民団湖西支部職員

家が民団支部に近いこともあり、1978年から民団支部の事務局で働いている。30代の母親として始めた仕事が、その後42年、私の毎日となった。民団支部に所属して7年のあいだ教育院の講師から学んだ韓国語を基盤に、今では4支部で韓国語の講師をしている。年齢を重ね引退も考えたが、今回の受賞を機に新たな力を得たように思い、引退を再考するつもりだ。

授賞式の後、夕食を共にしながら、ほかの人の話も聞きました。残念ながら割愛させていただきます。

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