現在は、出会いの機会も手段も沢山あるが、古の人々は家族・一族単位で行動することが多かった為、いろいろな地方の人が集まる「 市 」は恋のめばえる場所として、最も一般的だった。
また、山のふもとや野辺なども選ばれたようだが、川や泉など女たちが水汲みに集まる所は、格好の社交場だったようだ。
「 万葉集 」には恋愛のエピソードを含んだ歌が多い。
ところで、同書には“ 恋 ”に“ 孤悲 ”という表現を当てている例がしばしば見受けられる。
つまり、古代人にとっての恋愛は、好きな人のことを思い続け、その人が眼前にいないことを孤(ひと)り、深く悲しむことであった。
恋とは、憂いと悲しみの別名であったようだ。
見た目は“ 両想い ”に思えても、想いに強弱があって、どちらかの“ 片想い ”ということも、往々にあり得る。
恋愛に限らず、相手を思いやる心を持っていたい…