運命が光を失ったとき:1918年2月13日[1]夜12時

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私はいつしか、数えで22歳になっていました。子孫に恵まれなかった私の家にも弟と妹が増(ふ)え、5人姉弟[2]になりました。長女の私の下に弟の千幸(チョネン)と満幸(マネン)、その下に妹の満順(マンスン)がいました。

私が寝起きしている離れの裏手に、六角亭と呼ぶあずま屋がありました。そのまわりは、いつも春と秋の季節感があざやかでした。春は梨の花や梅の花がいっせいに咲き乱れ、秋はあじさいや野菊が競うように咲きました。きりの葉が地面を舞うと、冬が近い知らせです。ぼたんが散ると、夏が訪れました。

青々とした樹々が紅葉し、雪におおわれた地面に落ちて、また新芽が芽ぶく。自然の変化は少しもとどまることがありません。まさに光陰矢のごとしで、自然は年々たゆまなく流れています。なのに、ただ時が過ぎるのを待つだけの私。その思いは寂しくも悲しく、とても言いつくせません。

軒先の風鈴の音を聞いただけで、鼻の頭がうづいて目がしらが熱くなったりしました。年齢のせいでしょうか、私の運命に何か悪いことが起きようとしているのでしょうか。ただ事ではないように思いました。

[1] 陰暦では1918年1月3日
[2] 4人だと思われる

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